白熱灯と蛍光灯、明るさと色


家庭用の照明器具ですが、どうして「光る」のかをあまり考えたことが無いと思います。
そこで、簡単に原理を説明して、これから照明器具を選ぶ際に役立てて欲しいと思います。

現在の家庭用照明器具ですが、主に白熱電灯と蛍光灯があります。
まず白熱電灯ですが、あのエジソンが1879年発明した電球です。  尊敬!!
当時は炭素製のフィラメントに電流を流して白熱させました。
その時のフィラメント寿命は45時間だったそうです。
現在のフィラメントはタングステン製で、そして高温での蒸発を防ぐためにガラス球の中は不活
性ガスが封入されています。
その不活性ガスによって、呼び名が違ってきます。
たとえばクリプトン球といわれるものは、このガスにクリプトンが使われていますが、従来のア
ルゴンより10%以上熱損失が小さくなってます。
ハロゲン球には微小のハロゲン族元素を含むことにより、蒸発したタングステンがフィラメント
に戻るようにして寿命を2倍延ばしています。
ちなみに、お店・スーパーなどの照明にはダイクロハロゲンが使われています。



次に蛍光灯ですが、これは放電発光となり、気体中の放電により加速された自由電子が気体
の原子・分子に衝突して光を放射する現象を利用しています。
蛍光灯では低圧水銀蒸気中のアーク放電により253.7nmの紫外線を発生させ、その紫外線を
蛍光管の官壁に塗られ蛍光体で可視光線に変えています。
実は、蛍光灯は直接光って見えてるわけでは無いのです。
ですのでエネルギーの変換比率は、可視放射25%+赤外放射30%+紫外放射0.5%で残りは
熱損失になります。
つまりおおよそ半分はロスしてることになります。
ところで、蛍光灯の点灯方式でも大きな違いがあり、グロー式、ラピッドスタート式、インバータ
ー式があります。
昔はグロー式が多く、グローランプが黒くなって交換したことがあるかと思います。
現在はインバーター式が増えています。
その原理ですが、現在供給されている50/60Hzの電力周波数をいったん直流に変換し、それ
を高周波で遮断する回路とトランスを用いて、20〜70KHzの高周波にします。
チラツキと発熱を抑え、20%〜の省電力を達成できます。
また蛍光灯は点灯時に消費する電力が大きく、30分点灯する電力と同等を消費しますが、イ
ンバーター式はこれも少なくてすみます。
ところで、蛍光管の寿命ですがおおよそ6000〜時間になります。
しかし始動時(点灯する際)に負荷がかかりその時に寿命が1時間縮みます。
ですので、点けたり消したりするような場所には蛍光灯より白熱電灯が良いというのは、このよ
うな理由によります。
また屋外などの照明には高圧放電ランプが使われていますが、効率は良いのですが高価にな
ります。



今後の照明器具には、青色LEDで話題となったLED=発光ダイオードは光源として、主流とな
っていくでしょう。
耐久性・効率的に優れており、今はまだまだ高価ですが、今後はコストダウンが急速にすすむ
でしょう。
衝撃にも強く、そして照射角度や色が選択できます。
すでに、信号機はLEDにどんどん変わっていますし、自動車の車内灯やストップランプにも使
われ始めています。
数年前に青色LEDが話題になった時に、秋葉原でLEDを買ってきて、懐中電灯のハロゲン球
をLEDに改造・交換したことがあります。
電池がほとんど減りません!! 
照射角度が決まっているので、反射板や光源の位置調整も必要ありません。
ただし、白や青色はLEDダイオードの順電圧が3.5Vですので、電池2本では点灯しなく3本必要
になります。
明るさもLEDの数で決まりますので、これらがちょっと扱いにくいところです。
それにプラスマイナスの方向もありますので、逆差しでは点きません。。
最近、自動車の室内灯やカーテシランプもLEDに交換しました。
これは自作ではなく、PIAA製等を購入しました。
でも価格が高く、ちょっと暗く、そして差す向きがありますので、まだまだ趣味の範囲と思って使
われたほうがよいでしょう。



まだほとんどお目にかかれませんが、ELにも期待大です。

原理的な話はこれまでとして、次に生活と照明について話します。
明るさと色について、人間の生活と密接な関係があります。
まず明るさですが、ルクス(lx)という単位で表します。
一般的な家庭のリビングでの明るさは500〜700ルクス(lx)ぐらいになります。
お店などの明るさは、2000ルクス(lx)ぐらいあるようです。
ちなみに晴天の日向の照度は 10万lxもあります。
人が2500lx以上の照明を浴びると、人間の脳は覚醒し、活動的になることがわかっています。
一方、就寝時の照明は 10lx以下が良く、これはモノの形や色が一応判別できる程度の明るさ
です。
寝室が50lx(本がなんとか読める程度)より明るいと、熟睡できないことも実験でわかっていま
す。
また大体どのような広さの部屋でどんな作業をするときにはどれくらいの照度が適しているとい
う基準がJIS(日本工業規格)で決められているのです。
しかしながら視力は年齢とともに衰え、たとえば細かな作業をする場合、 60歳には20歳の3.2
倍、40歳でも1.8倍の照度が必要といわれています。



次に光の色ですが、これは色温度で表しケルビン (K)という単位で表されます。
晴天の昼間の空は10000〜12000Kで青く見えますが、正午の太陽光は5000〜5500Kで白く見
えます。
逆に日の出直後や日没前の太陽光は色温度が低く、3000〜3500Kで赤味を帯び始めます。光
色が与える心理的な影響は大きく、同じルクスでも、蛍光灯の青味 を帯びた 光は覚醒作用が
強く、白熱灯の 赤味を帯びた 光色は気持ちを落ち着かせる作用があります。

海外の家庭の照明には白熱電灯が多く使われています。
照度も落とし、自然に近い環境に近い生活を送っています。通常の白熱ランプは色温度約
3000ケルビンです。 
一方日本は蛍光灯の白い明かりが好まれ、昼のように明るくしています。
最近では、蛍光ランプは、電球色(3000k)・温白色(3500k)・白色(4200k)・昼白色(5000k)・
昼光色(6700k)と光の色によっていくつか種類があり、調光ができる蛍光灯も選ぶことができ
ます。



更に色温度と照度には関係があり、クルーゾフ効果と呼ばれる法則があります。
色温度の低い光は、照度が低いと穏やかで暖かい快適な印象を与えますが、照度がある程
度より高くなると、逆に暑苦しい感じがして不快感を覚えるのです。
色温度の高い光は、照度が高いと爽やかですっきりした快適な印象を与えますが、照度があ
る程度より低くなると、逆に寒々しく陰気な感じがして不快感を覚えるようになります。
結局は色温度が中位(およそ3000k〜5000k程度)の光が、最も快適と感じるレンジが広いと
いうことです。
これは覚えておくと便利な法則です。



照明環境のデザインは、もっと奥が深く「影」や「反射」まで計算し、器具と設置場所を決めま
す。
そして「白熱灯は点照明なので影ができやすく、蛍光灯は面照明なので影ができにくい。」とい
ったテクニックも必要となります。
「節電」「実用性」だけの照明は、ちょっと寂しいでしょうか。。。


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